第3回 学問としてのファッションローの状況

第3回 学問としてのファッションローの状況

本格的なファッションローの研究の始まりは、1955年のFriedrick-Karl Beier教授による論文「ファッションデザインのドイツとフランスにおける保護」にさかのぼります※1)。その後も、欧州では、1993年のJoerg Oliver Helfrichによる著書「ファッションの法的保護」が出版されるなど、ファッションローの研究が行われてきています。

また、米国では、2010年にフォーダム大学ロースクール(ニューヨーク州)のSusan Scafidi教授が、米国デザイナー協議会等の協力を得て、世界で初めてのファッションローの学術センターと言われるFashion Law Instituteを設立し、ファッションローの本格的な研究と教育が開始されました。現在では、フォーダム大学やロヨラ大学(カリフォルニア州)などをはじめ、多くのロースクールでファッションローのコースが設けられています。

そして日本でも、2014年、Scafidi教授のFashion Law Instituteとコラボレーションして、Fashion Law Institute Japanが設立され、ファッションローの研究と教育が本格化する流れができつつあります。

東海大学でも、法科大学院の2013年度の授業にファッションローを組み入れ、専門的な知識を持った法曹の育成指導に着手しました。東海大学総合社会科学研究所知的財産部門でも、ファッションローを重点的な研究分野の1つと位置付け、研究と教育に取り組んでいくことにしています。その一環として、2017年11月11日(土)には、第1回ファッションローシンポジウム「RUNWAY to the LAW」を開催する予定です。

東海大学総合社会科学研究所知的財産部門は、日本におけるファッションロー研究をリードする役割を担うべく、これからも積極的に情報発信を続けて参ります。


角田政芳(東海大学 総合社会科学研究所 所長)
内田剛(東海大学 創造科学技術研究機構 助教)
関真也(TMI総合法律事務所 弁護士・ニューヨーク州弁護士)



※1) 角田政芳=関真也『ファッションロー』4頁(勁草書房,2017年)(Joerg Oliver Helfrich, “Rechtsschutz der Mode” Nomos. 1993. S.26を参照引用)。